「鍼って、なんで効くんですか?」
診療中、多くの方からいただく質問です。
実は近年、西洋医学の研究によっても、鍼の効果のメカニズムが少しずつ明らかになってきています。
1. 内因性オピオイドの分泌
鍼の刺激は、脳から「内因性オピオイド」と呼ばれる、痛みを和らげる物質の分泌を促すことがわかっています。これは、いわば身体が自分で作る天然の鎮痛薬のようなもの。鍼の鎮痛効果は、この仕組みによるところが大きいと言われています。
2. 自律神経の調整
ツボへの刺激は、自律神経のバランスに影響します。緊張型のストレスが続いていると交感神経が優位になりますが、鍼によって副交感神経が活性化し、リラックス状態に導かれます。「施術後、ぐっすり眠れた」とおっしゃる方が多いのも、このためです。
3. 血流の改善
鍼を打つと、その周辺の毛細血管が拡張し、局所の血流が良くなります。慢性的な肩こりや腰痛の背景には「血流の悪さ」があることが多く、ここに直接アプローチできるのが鍼の強みです。
4. トリガーポイントへの刺激
筋肉の中には「トリガーポイント」と呼ばれる、痛みの引き金になる硬い結節があります。鍼でこの点を狙って刺激すると、深部の筋緊張が一気に解放されます。これは指圧やマッサージでは届きにくい領域です。
WHO(世界保健機関)が認める鍼の効果
WHOは、鍼灸が有効であると認めている疾患のリストを公表しています。腰痛・肩こり・頭痛・五十肩・坐骨神経痛・自律神経失調症・更年期障害など、その対象は多岐にわたります。
痛くないんですか?
よくいただく質問です。当院で使う鍼は、髪の毛ほどの細さ(直径0.16mm前後)。注射針の何分の一の太さで、刺入時のチクッという感覚もほとんど感じない方がほとんどです。「もっと痛いかと思った」と笑われる方も多くいらっしゃいます。
もちろん、ツボに当たったときの「ズーン」とした感覚(響き)はありますが、これは効いている証拠でもあり、不快な痛みではありません。
東洋と西洋、どちらが正しいのか
私はどちらも正しいと思っています。東洋医学が長い経験の中で発見してきた効果を、西洋医学が科学的に裏づけている── そんな関係です。
診療では、東洋医学的な見立てと西洋医学的な解剖生理学の両方を使って、患者さんに合った施術を選んでいきます。